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   ポートインピーダンス変換(De-Embedding併用)
    
測定状態


2XThrough治具
   シングルエンドインピーダンス=50[Ω]または差動インピーダンス=100[Ω]
   以外のケーブルをフィクスチャで測定する場合、VNAのポートインピーダン
   ス変換機能が有効です。
   通常、フィクスチャのインピーダンスはVNAと同じく50[Ω]または100[Ω]で
   製作します。
   インピーダンスが異なるケーブルを測定すると、フィクスチャとの接続点で
   ミスマッチが発生します。
   ポートインピーダンス変換機能を使用する事で、ミスマッチを低減する事が
   可能です。
   ポートインピーダンス変換は校正面で実行されるため校正面をフィクスチャ
   端面に移動する事が必要です。
   移動する方法にはPort ExtentionとDe-Embeddingがあります。
   下記では、De-Embeddingでフィクスチャ特性を除去し校正面をフィクスチャ
   の接続点とし、ポートインピーダンス変換機能でケーブルの公称インピーダ
   ンスに変換します。
   
 De-Embeddingとポートインピーダンス変換の実行
    1.差動ケーブルフィクスチャで被測定ケーブルをVNAで測定する。
     被測定ケーブルの公称インピーダンス=90[Ω]
    2.2XThrough治具からAFRで生成したフィクスチャ各1台分のS2Pファイルを使
     用してDe-Embeddingを実行する。(「2XThrough治具」参照)
     De-Embeddingによりフィクスチャの特性が除去されVNAの校正面がフィクス
     チャの接続点となる。
    3.VNAのインピーダンス変換機能を使用してポートインピーダンス=90[Ω]に
     変換する。
     これにより、フィクスチャ接続点と被測定ケーブルのミスマッチが低減さ
     れる。

     *AFR:Keysight社ソフトウェア Automatic Fixture Removal


 変換前後のデータ
   下記データはUSB3.0ケーブルAssy.からSTPケーブル1本を取り出してフィク
   スチャを使用して測定したデータ
   VNAで測定後にPLTSを使用してDe-Embeddingとポートインピーダンス変換を
   実行した。

     *PLTS:Keysight社ソフトウェア Physical Layer Test System

 Impedance(TDR)データ
    
実行前(アカ線):VNAとフィクスチャのインピーダンス=100[Ω]なのでフ
     ィクスチャの接続点で被測定ケーブルとインピーダンスステップが 発生
     している。

    実行後(ミドリ線):VNAとフィクスチャのインピーダンス=90[Ω]に変換
     されフィクスチャの接続部で被測定ケーブルとインピーダンスステップ
     は低減している。
     De-Embeddingによりフィクスチャ接続点は0[ns]に左方向に移動している。
 


 Insertion Loss
    
実行前(アカ線):フィクスチャのロスとミスマッチロスが測定値に加算
     されている。
    実行後(ミドリ線)フィクスチャのロスとミスマッチロスが除去されて
     いる。
 


 Return Lossデータ
    
実行前(アカ線):測定系のインピーダンス=100[Ω]、ケーブルのインピー
     ダンス=90[Ω]による悪化が出ている。
    実行後(ミドリ線)フィクスチャを含めた測定系のインピーダンス=
     90[Ω]に変換されている。
     特に低周波で改善が顕著に現れている。